はじめに

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 小児科の開業医である私が、夏井睦先生の新しい創傷治療に出会い、傷・やけどの湿潤療法をはじめて、15年ちかく経ちます。最初に揃えておくべき被覆材である瑞光メディカルの【プラスモイスト】も当時はありませんでした。使える材料はハイドロコロイドの【デュオアクティブET】などや、アルギン酸塩の【カルトスタット】などや、ポリウレタンフォーム【ハイドロサイト】などしかありませんでした。
 まず、擦過傷に湿潤療法をおこない、こんなにきれいに治るのかと、けがをしたお子さんもお母さんも、もちろん私もびっくりしていました。
 この頃、バンドエイドキズパワーパッド(ハイドロコロイド)や今は無きクイックヘルプ(アルギン酸塩)が発売され、小さな傷なら家庭でも湿潤療法が出来るようになりました。ただ、キズパワーパッドには「5日間貼りっぱなし」と書いてあり、皆さんご存じのように、ハイドロコロイドが傷からの滲出液で溶け、ドロドロになり匂いもしてきます。滲出液が健常な皮膚に付くと、かぶれや膿痂疹を起こすこともありました。化膿したとの誤解を受けることも多かったです。
 ハイドロコロイドに限らず、被覆材は汚れたら、流水で洗って張り替えるのが原則です。その昔、講演会で「被覆材はいつ張り替えれば良いか」と言う質問が出たとき、夏井先生は「パンツと一緒。汚れたら替える」と仰り、今でも説明に使わせて頂いています。
 やけどの治療も夏井先生の指導を受けながら、恐る恐る行ってきました。鍋に手を突っ込んだ子やたき火を踏んだ子、ライター遊びしていて香水に引火して受傷した子など症例を重ね自信がついてきました。所属している外来小児科学会にも発表し、夏井先生を滋賀にお呼びして講演をしていただいたりし、小児科界隈では湿潤療法医として少し知られるようになりました。
 2010年秋にとんでもない症例【症例写真(閲覧注意)】が飛び込んできました。こんな深いやけどを診れるのかと不安になり、夏井先生に写真を送りメールで相談しました。すぐに『岡田先生なら大丈夫』という返事を頂き、治療開始しました。
 なんとその日、金曜日の夜、私の講演を聴いておられた大阪の先生から「天ぷら油でやけどした子を、診てくれるかと」電話がありました。【症例写真(閲覧注意)】たしかに、深い熱傷ですが、前日の子に比べると軽症のように見え「大丈夫治るよ」と明るく軽く言いました。その直後、お母さんが、はらはらと泣き崩れました。聞くと水曜日に受傷し、救急車を呼ぶも、なかなか受け入れ先が見つからず、やっと受け入れて貰った某有名病院で、一生瘢が残る、皮膚移植が必要になるかもしれないと言われ、きれいな体で生まれたこの子に何という傷をつけてしまったのかと、一睡も出来なかったそうです。私の言葉で一筋の光が見えたと後で言われました。【エンジェルかよ!ちゃいます。タダの小児科医です】写真を見ておわかりのようにほとんど瘢は分からなくなっています。
 この2症例で私は「子どもの熱傷に99.99%皮膚移植は要らない。」と強く思うようになり、日本小児科学会や滋賀地方会、小児救急学会などで発表しました。医学雑誌にも症例を出しました。
 熱傷診療ガイドライン第二版P52、P54にも私の名前が載っておりびっくりしたとともに、熱傷専門の先生も私たちの書いた湿潤療法についての文献をお読みになっていると言うことが分かりました。
 外来小児科学会年次集会でほぼ毎年のように湿潤療法のハンズオンセミナーを開催するなど、開業小児科医の間では、なつい式湿潤療法はずいぶんポピュラーになってきました。
 しかし、皮膚移植を必要と診断される熱傷の方は、私たちの診療所には来られません。救急車で皮膚科や形成外科のおられる大きな病院に搬送されます。そこで、なつい式湿潤療法ではない処置をされ、一週間ほどで早く治すために皮膚移植をしましょうと言われます。皮膚移植の日は治療開始してからほぼ2週間前後のことが多いです。それは熱傷診療ガイド等に【二週間して上皮化しなければ皮膚移植】と書いてあるからです。
 待ってください、浅い2度熱傷(SDB)は最初から、なつい式湿潤療法をすれば概ね2週間で上皮化します。それ以上深い熱傷は皆、皮膚移植ですか。
 先日も味噌汁を半身にかかった2才前の女の子が、入院中の病院で治療開始一週間目に「早く治すためには頭の皮膚をとって移植しなければならない」手術日は7日後の〇月〇日と言われ、ネットを検索し当院に来られました。もちろんなつい式湿潤療法を施行し、皮膚移植と言われた足の甲は一ヶ月後に完全に上皮化し、瘢痕や引きつれもありません。脇腹は2ヶ月経っても、まだ上皮化していませんが、ずいぶん傷は小さくなりました。もちろん瘢痕や引きつれはありません。あとで、聞くと移植した症例写真を見せてくれるように何度も頼んだのに、見せてくれなかったとのことです。
 yakedo.jp を立ち上げようと決心したのは、偉そうに聞こえるかもしれませんが、子どものアドボケーターである小児科医としてのMissonだと思うからです。還暦を過ぎた私が目の黒いうちに、やけどをした子どもとそのお母さんが少しでも救われることを祈念しています。
 大事なことなので、もう一回書きます。やけどをしたら、皮膚移植される前に、なつい式湿潤療法を施行している医療機関に相談してください。

「子どもの熱傷に99.99%皮膚移植は要らない。」
「大人も含め、熱傷に上皮化するまで、皮膚移植は絶対要らない。」と考えていますが、【医学に絶対はない。】と仰る先生もおられること、大人の症例が少ないことで、上記のように書きました。
 腸骨が露出し、2回皮膚移植施行されたが、生着しなかった大人の方は1年近くかかりましたが、なつい式湿潤療法で上皮化いたしました。
 足背に高温の天ぷら油をこぼした還暦間近の女性は半年かかりましたが、なつい式湿潤療法で上皮化いたしました。 
 大人の深い熱傷はこの2例しか経験が無いため、大人には言及いたしません。

皮膚科の先生、形成外科の先生へ
 先生方が、熱傷の治療について、深く学ばれ、熱意と誠意を持って治療に当たられていることは重々承知しております。重症のやけどの子の治療に夜間休日にも病棟に診療されておられることと、敬服いたします。
 私たちの症例をご覧になってどう思われますか。
先生方の勇気ある行動を希求いたします。

 なつい式湿潤療法は自然療法ではありません。自然では絶対に実現できない環境を作り出し、創傷の治癒を図る科学的な治療法です。
 もちろん統合医療ではありません。医学ですので、治療手技等の情報はすべて公開いたします。秘伝の術や薬などありません。
 また、西洋医学を否定しておりません。医学そのものです。しかし医学の歴史を見るとその進歩は従来の考えや治療法を180度覆した事例が多々あります。当時の医学の権威によって抹殺された医師もおります。
 ちなみに私は乳幼児児童生徒に対するワクチンの必要性を強く訴えています。

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